「これは明らかに間違いだぁ!!」
こんにちは、パリのファッション業界で働き早12年、Yoshiです。
先日BUYMAにおいて連載されている
MB’s Style Guideを読みました。
読んでない方、是非読んでください。
面白いです。
Yoshiはファッション業界で働いていますが、トレンドを追いかけないので
今、何が流行っているのか?とか、正直よく分かりません。
MBさんの記事で
「え? 今こんなのが流行ってんの?」
「このデザイナー、こんなの発表したの?」
と、トレンドを一生懸命学んでいます。
MBさんの記事、面白くて為になるのですが、
Vol.1記事中に、1点完璧な間違いを発見しました。
私たちはファッションに関しては後進国です。「和服」の時代が長く「洋服」の文化がまだまだ根付いていません。イギリスでは背広の着こなし方を父親から教わりますが、日本では「父親」はダサいスタイルの象徴でもあるでしょう。
決して差別するわけではありませんが・・・そんな歴史の違いから、海外デザイナーと国内デザイナーとでは「ベーシックなアイテム」ならばともかく、「柄」や「グラフィック」などセンスが問われる部分はまだまだ差がある様に感じます。柄物を見ていくとどうしても惹かれるのは海外ブランドが中心になってしまいます。
出典:https://www.buyma.com/contents/mb-style-guide/
「Oh My God!!」
略してOMG
日本が、ファッション後進国!!?
そんなバカな!!
感性の問題だから「日本がファッション後進国」と言っても間違いではない
と、言えなくもないですが
これは、やはり明らかな間違いです。
今回は、
- 日本のファッションのレベル
- 日本人の好きなスタイル
- で、結局BUYMAで何をしたらいいの?
という流れで日本のファッション、
BUYMAで出品するべき服について話をしたいと思います。
◇目次
日本のファッションのレベルは低い?
結論を先にを言いますと、日本のファッションのレベルめちゃくちゃ高いです。
ファッションが好き!!
ファッションの本場ヨーロッパに行くぜ!!と
浅はかな考えで日本を飛び出したYoshiですが
海外で「日本のファッションってすげぇぇえ!!」と感じたことが何回もあるので
そんな経験の一部をご紹介します。
日本のファッションがどのように評価されているのをご理解頂けるかと思います。
ロンドンの大学でファッションを学んでいた頃のエピソード
- 「Yoshiはなんで文化服装学院に行かなかったの? どう考えてもうちの大学よりもあそこの方がレベル高いでしょ?」
と多くのクラスメートに質問される。因みにイギリスのBusiness of Fashionが発表した世界のファッション大学ランキングでは文化服装学院は堂々世界2位に選出されています。
Business of Fashion曰く、「卒業生の質と数を考えると、世界2位というのは当然の結果」だそうです。 - 文化比較の授業中、教授が言ったこと。
「世界には優秀なデザイナーを輩出する都市がいくつかあります。 ロンドン、パリ、東京は優秀なデザイナーを輩出する都市のトップ3です。 この3都市は必ず訪れなければいけません」 - 「自分らしいデザイン、人真似じゃないデザインをしよう」といつも生徒に言っている教授が、
実はComme des Garcons SHIRTのコピーブランドを展開していることに気づく - 海外ファッション大学の首席卒業者のほとんどが日本人であることに気づく
- Victoria and Albert Museumにおいて催されたRadical Fashion(革新的なファッション)という展覧会を訪れたところ,
Alexander McQueen, Hussein Chalayan, Helmut Lang,
Martin Margiela, Rei Kawakubo, Yohji Yamamoto, Junya Watanabe,
Jean Paul Gaultier, John Galliano, Issey Miyake, Azzedine Alaiaと、
フィーチャーされているデザイナー、11名のうち実に4名が日本人デザイナー
パリで働いていた頃のエピソード
- 当時、世界一のセレクトショップと言われたL’Eclaireurの取り扱いブランド数を数えたところ、
日本のブランドが一番多いことが発覚 - ファッションショーが終わる度に自分へのご褒美にL’Eclaireurで買い物していたとあるブランドの有名デザイナー、
彼が買うもの、全てがComme des Garconsであることに気づく - ParisのMusee de la Mode et TextileにてDior展が開催されているときに、
New York Metropolitan Museum of ArtにてComme des Garcons展が始まる
(METにて、現役デザイナーの単独展が開催されるのはYves Saint Laurent以来、史上2人目)
フランスのある新聞社では「ParisにてDior展が開かれているときに、NYにてComme des Garcons展が開催される。
人類史上最も重要な2人のデザイナーが同時期に2つの都市でフィーチャーされたことは大変興味深い」と解説していた。
因みにMBさんは
柄バッグはインポートブランドがおすすめ。私も毎週配信しているメルマガでリュックスタイルを見せていますが、着用品はファストファッションでもリュックは「フィリップリム」「マルニ」「カルヴェン」「サンローラン」などのインポートブランドを使うことが多いです。
と、
センスが問われる商品を上手に作っているデザイナーとしてMarniを挙げていますが、
Marniの創業デザイナー=Consuelo Castiglioni、
実を言いますとComme des Garconsの大ファンです。
Consuelo CastiglioniはL’Eclaireurを訪れると、先ずはMarniの服のところに行き、
服全てにギュッとハグをします。
その後はComme des GarconsとJunya Watanabeの服を大量に選び、
お供のアシスタントデザイナーさん2人に対し、Garconsの服を前にレクチャーをします。
レクチャーが終わると買い付けをして、帰ります。
サイズ、メンズ、ウィメンズを関係なく買い付けるので、
デザインのヒントにする為のサンプルなのでしょう。
いつもGarconsとJunyaの中でも派手な色使い、デザインの凝ったものを購入していました。
挙げればキリがないのでこの辺で終わりにしますが、
海外に行くと日本のファッションの立ち位置が分かります。
海外から日本のファッションを見た経験がある私には
私たちはファッションに関しては後進国です。
出典:https://www.buyma.com/contents/mb-style-guide/
なんてことは、とてもではないですが言えません。
世界で初めて芸術が大衆化された国
日本のファッションのレベルが高いことはご理解頂けたかと思います。
ここで少し、
つい最近まで和服を着ていた日本人がファッション界で評価される理由を考えてみたいと思います。
理由はいくつか考えられますが
- 日本は世界で初めて芸術が大衆化された国
- それにより、日本人は芸術一般に深い造詣がある
この2点が大きいのかなと考えます。
「日本が芸術を初めて大衆化した国?」
とビックリしたかと思いますが
美術史を勉強しますと、これが本当であることが分かります。
世界的に有名な建築家もこんなことを言っています。(原文がないのが残念です)
「日本は世界で初めて芸術が大衆化された国です。
オペラが王侯貴族だけの為に上演され、絵画が王侯貴族と教会の為だけに描かれる。
欧州において、芸術が一部の人たちだけの為に存在していたころ
江戸では歌舞伎が庶民の為に上演され、浮世絵が庶民の為に制作されていたのです」
日本人は一般大衆も含めて芸術が好きで
遠い昔からセンスを磨いてきたのです。
それにより、ファッションに限らず、
芸術全般に強くなったのです。
日本人は芸術全般に優れている
これを証拠立てるものとしては
建築界と映画界での日本人の評価を挙げることができます。
日本人は建築と、映画の分野でも高い評価を得ているのです。
私はロンドンの学生時代
イギリスで最もレベルの高い映画大学で映画を学ぶデンマーク人
欧州で最もレベルの高い建築大学で建築を学ぶブラジル人
と、ハウスシェアをしました。
彼らに
「優秀な映画監督を輩出した国、トップ3は?」
「優秀な建築家を輩出した国、トップ3は?」
とそれぞれ質問したところ
映画:フランス、ポーランド、日本
建築:スイス、オランダ、日本
とのことでした。
当然、彼らの好みもあるでしょうが、日本がそれぞれの分野でトップ5には数えられているのは間違いないのではないでしょうか。
芸術に強い関心、
深い造詣を持つ日本人たちは
西洋の服を輸入すると同時に、自分たちで咀嚼して
自分たちなりのやり方でデザインするようになった。
デザインの素地があった日本人は
クオリティが高く、独創的なものを創った。
結果、世界で評価された。
これが、
つい最近まで和服を着ていた日本人が
ファッション業界で評価されるようになったあらましだと思います。
日本人が好きなスタイル
そんな美術、芸術、大好き、
ファッションコンシャスな日本人、
服の好みが少し他国の人と違います。
美しい!
可愛い!
という服には飽き足らず
コンセプチュアルな服を好む傾向があります。
コンセプチュアル??
ちょっと説明しますと
その物がなんであるかを捉える思考=コンセプト
です。
ですので
「この服にはどんな意味があるのだろう?」
「この服が訴えていることはなんだろう?」
「デザイナーはこの服を通して何を表現しようとしたのだろう?」
と、人がどうしても考えてしまう服=コンセプチュアルな服と言うことができます。
「え、これ何? どう解釈したらいいの?」
と、ちょっと戸惑う服と言えば分かりやすいでしょうか。
コンセプチュアルな服たちの例ご紹介しますと、
Maison Martin Margiela
Victor & Rolf
VETEMENTS
Hussein Chalayan
これらが、コンセプチュアルな服=日本人の好み
と言えます。
???な服を扱おう
ということで、日本人はコンセプチュアルな服を好む傾向にあるので
BUYMAで服を扱うときは
「この服なんなんだ? 美しいかと言えば決して美しくない。
そもそもデザイナーが美しい服を作ろうとしていない。
デザイナーは何がしたいんだ?」
こんな風にあなたが感じる服を扱うといいです。
「うん、キレイ」
「可愛い」
という服も売れますが、???な服を扱った方が成約率は高まります。
特に、何万円もする服をBUYMAで買うような先進的な人たちは
???な服を好む傾向にあります。
キレイな服と???な服、両方ある場合、
???な服を出品してください。
まとめ
- 日本のファッションのレベルは高い
- レベルの高い日本人が好むのはコンセプチュアルな服
- ???な服を扱おう
今あるコンセプチュアルな服、全ての源泉になったのは日本人デザイナー達です。
私たち、日本人にはコンセプチュアルな服を好む、理解する、創り出す素養があります。
日本人はコンセプチュアルな服が大好きです。
出品するときは???な服を扱ってください。
きっと想像以上に売れますよ。
当記事があなたの活動のお役に立てば嬉しいです。
それでは、また次回お会いしましょう。
Ciao!!